G-xG(得点−xG差分)とは

G-xG(得点−xG差分:Goals minus Expected Goals)は、実際の得点数からxGを引いた差分で、得点が期待値からどれだけ上振れ・下振れしたかを示す指標である。

xGは、シュートの位置や状況から「平均的な選手が決めるであろう得点数」を推定する。G-xGはその推定値と実際の得点を突き合わせ、結果が期待値をどれだけ上回ったか、あるいは下回ったかを表す。正の値であれば上振れ、負の値であれば下振れを意味する。

G-xGは「決定力」を測る指標としてしばしば参照される。ただし、この差分が反映するのは決定力だけではない。運の要素やサンプル数の少なさによる揺らぎが混ざる。

仕組みと読み方

G-xGはその対象がチームか選手かで、読み方が変わる。

チーム単位で読む場合

チーム合計の実得点からチーム合計のxGを引いたものが、チーム単位のG-xGになる。

  • G-xG = 実得点 − xG

たとえばシーズン途中までに40得点を挙げ、累積xGが35.5のチームであれば、G-xGは+4.5となる。期待値よりも4.5点多く得点した計算だが、それがフィニッシュの質によるものか運の良さによるものかは、この数値だけでは判別しづらい。

1試合単位のG-xGは振れ幅が大きく、数試合の結果から傾向を読むのは難しい。試合数を重ねた累積で見ることで、チームの得点パフォーマンスが期待値に対してどちらに偏っているかが浮かび上がってくる。

長期的には、チーム単位のG-xGは0に近づく傾向がある。シーズン序盤に大きくプラスだったチームが後半に落ち着いていくのは、平均回帰と呼ばれる統計的な性質による。

選手単位で読む場合

選手単位のG-xGは、「決定力」の候補指標として参照されることが多い。

10得点でxGが6.0の選手は、G-xG = +4.0。与えられたチャンスの質に対して多くの得点を挙げている。一方、同じ10得点でもxGが14.0の選手は、G-xG = −4.0。チャンスの量に見合うだけの得点をあげられていない。

同じ10得点でも、累積xGの値によってG-xGのプラス・マイナスが逆転する棒グラフ。選手XはxG=6に対しG-xG=+4、選手YはxG=14に対しG-xG=−4
G-xGの読み方は、累積xGの大きさに左右される

ただし後者は、それだけ多くのシュートチャンスを作り出してきた選手でもある。

G-xGが大きくプラスの選手は、平均回帰で今後0に近づく可能性があるが、それはマイナスの選手にも同じことが言える。G-xGがマイナスの選手は、移籍市場では過小評価されているケースもあり、あえてそうした選手を狙うクラブもある。

チャンスをゴールに変える能力」と「チャンスそのものを生み出す能力」を別の軸で見る考え方もある。G-xGが示すのは前者であり、後者はG-xGそのものからは読み取れない。

限界と注意点

「決定力」と単純化できない

G-xGはしばしば「決定力」と呼ばれるが、実際には3つの要素が分離されずに混ざっている。

  • シュートの質による上乗せ — ゴール隅を突くコース、GKの届かない軌道、速い弾道など、シュートそのものの質によって得点確率を引き上げた分。xGOTとxGの差分(SGA)として切り出すことができる
  • 純粋な運 — ポストに当たる、GKの正面に転がる、こぼれ球がうまく来る、ピッチコンディションの影響、といった偶然の要素
  • サンプルサイズの振れ — 1試合に一人の選手が打てるシュートはせいぜい5、6本程度で、統計的な試行回数としては少ない。試行が少なければ、期待値からの乖離は自然に大きくなる

G-xGの値だけを見て「決定力が高い/低い」と結論づけると、特に運の上振れを決定力と混同しやすい。

少ない試合数では振れ幅が大きい

G-xGは安定化が遅い指標の代表例である。得点はサッカーにおいて希少であり、少数試合の差分から安定した傾向を読み取ることは難しい。シーズン単位でも、前年にG-xGが大きくプラスだった選手が翌年にマイナスへ転じる例も決して珍しくない。

プラスのG-xGを長期にわたって維持するには、卓越したフィニッシュの技術を発揮し続けることが必要になる。加えて、シュート本数が少ない選手はそもそも差分が大きく揺れるため、技術があっても安定的にプラスを示すには一定のシュート量が要る。

PKの扱いに注意

PKには1本あたり0.76〜0.82のxGが固定で割り当てられる(値はリーグやプロバイダーによって異なる)。この設定ゆえに、PKを決めても上乗せされるG-xGはわずかにとどまる一方、外した場合のマイナスは大きい。シーズン中に数回PKを外せば、チャンスを生み出す能力とは切り離された要因で、個人のG-xGは大きく下振れすることになる。

PKの影響を取り除きたい場合は、npxG(PKを除くxG)を使い、PK抜きの得点数と比較する。

関連する指標

  • xG(ゴール期待値) — G-xGの出発点となる指標。シュートが得点になる確率を0〜1で表した指標で、G-xGはこのxGと実得点の差分として導出される
  • xGOT(枠内ゴール期待値) — シュートの到達位置まで考慮した指標。G-xGを「シュートの質による上乗せ(SGA)」と「運」に分解する材料を提供する指標
  • npxG(PK除外xG) — PKを除いたxG。G-xGからPKの非対称な影響を排除したい場合に使う
  • 平均回帰 — 極端な値が長期的に平均に近づいていく統計的現象。G-xGが時間とともに0へ近づく傾向の理論的背景にあたる
  • サンプルサイズと安定性 — G-xGは安定化が遅い指標の典型例。少数試合のG-xGから傾向を読み取ることの危うさを前提として扱う

参考