クリアとは

クリアとは、危険な状態を避けるため、味方につなぐ意図は持たずにボールを遠ざける守備のアクションである。

選手がクリアするのは、つなぐことが現実的でない場面が多い。自陣ゴール前で相手よりも先にボールへ触ることが求められれば、フリーな味方を探す余裕はない。そのため、選手は無理に味方へつなぐよりも、危険を消すことを優先する。

大きく前方へ蹴り出すことだけがクリアではない。たとえば数的不利の局面で、タッチラインやゴールラインの外へ出し、守備を整える間をつくるプレーも、定義に当てはまればクリアとして記録される。

1チームが1試合あたりに記録するクリアは、おおむね20本台である。ポジション別ではセンターバックが最も多い。

定義と読み方

何をクリアとして数えるか

クリアの定義には、主要なデータプロバイダーで共通する部分が多い。一方、どの状況まで含めるか、他のイベントとどう重ねて記録するかには違いがある。

プロバイダークリアの定義設計の特徴
Opta受け手を定めないまま、ピッチ上の危険なゾーンからボールを遠ざけようとする守備アクション危険なゾーンという場所を条件に置く
StatsBomb守備側の選手が、味方に届ける意図を持たずに危険を取り除くアクション空中戦に勝ったうえでのクリアかどうかを、属性として併せて残す
Wyscoutパスや保持という別の選択肢がある中で、安全を優先し、狙いを定めずに前方へ長く送る、または外へ出すプレー別の選択肢があったことを条件に含める
J STATS外に蹴り出すことや陣地回復など、味方につなげる意図がなく危険な状態の回避を目的として行ったプレー陣地回復を目的の例として挙げる

※Opta・StatsBomb・Wyscoutの公式定義の出典は参考セクションを参照。J STATSの定義はJリーグ公式サイトのスタッツページによる

いずれの定義も「味方につなぐ意図がないこと」と「危険を避けること」を要件にしている。Optaの定義には危険なゾーンという場所が、Wyscoutの定義には別の選択肢があったことが、条件として入っている。

共通の要件である「味方につなぐ意図がないこと」は、選手の意図をどう読み取るかによる。目の前のプレーをクリアとして記録するかどうかの判断は、集計する側に残る。

どこまでを内訳として残すか

クリアの内訳をどこまで記録するかは、設計によって分かれる。StatsBombは、頭・左足・右足・その他の4区分で部位を残し、空中戦に勝ったうえでのクリアかどうかも併せて記録する。

ゴールライン上でボールを掻き出すプレーは、ゴールライン上のクリア(clearance off the line)と呼ばれる。Optaは、この場面のシュートを枠内シュートとして扱い、ブロックされたシュートには数えない。

注意点

クリアの数と守備の評価

攻め込まれる回数が多いチームほど、クリアの回数も増える。守備アクションの指標のなかでも、クリアはこの結びつきが強い部類にあたる。

たとえば、基本的な守備アクション指標と被ゴール期待値(xGA)の相関を並べると、その傾向がはっきり分かれる。

守備指標xGAとの相関
ブロック+0.40
クリア+0.32
こぼれ球奪取+0.03
インターセプト−0.02
タックル−0.05

※J1の2019〜2025シーズン(計2364試合)について、クラブごとのシーズン集計から算出

正の値が出るのはクリアとブロックだけで、残る3つはほぼ0である。タックルやインターセプトはピッチの広い範囲で起こるのに対し、クリアとブロックは、主に相手にゴール前まで侵入されたときに起こる。したがって危険な場面がどれだけ生まれたかが、数字に表れやすい。

失点との関係も同じ向きに出る。プレミアリーグでは、1試合あたりのクリア数と失点の相関が、3シーズンとも正の値を示している。

もちろんピンチの際に相手の流れを断ち切るクリアは、その場での失点を防ぐ。ただしチームとしてのクリア数の多さは、守った回数であると同時に、守らざるをえなかった回数であるともいえる。

参考