APT(アクチュアルプレーイングタイム)とは

APT(アクチュアルプレーイングタイム:Actual Playing Time)は、試合のなかで実際にプレーが行われた時間である。

サッカーの試合は90分間(+前後半のアディショナルタイム)だが、その間ずっとプレーが続いているわけではない。このうち、プレーが行われていた時間だけを取り出したものがAPTである。欧州主要リーグの平均は概ね55〜58分だが、試合によるばらつきは大きく、40分台後半から65分を超えることもある。

Jリーグは2025シーズンより、APTの延伸をリーグ全体の目標に掲げている。インプレー時間を伸ばして試合の密度を世界基準に近づけ、リーグの魅力と競技環境を高めることがその狙いと言われる。

仕組みと読み方

中断時間の内訳

APTの考え方は「試合時間 − 中断時間」である。中断にはFK、スローイン、ゴールキック、CK、得点からの再開、VAR、選手交代、負傷者の治療、ハイドレーションタイムなどが含まれる。

以下は、J STATS REPORT 2025に掲載されている、J1リーグにおけるアウトオブプレータイムの内訳である。

項目1試合平均の中断時間
FK16分24秒
スローイン11分24秒
ゴールキック8分06秒
CK6分24秒
得点→KO3分00秒
PK0分36秒
その他1分54秒
合計47分48秒

※出典:J STATS REPORT 2025、2025シーズンJ1、1試合平均。セットプレーのリスタート時間にはVAR、交代、負傷者の治療、飲水タイムなどによる時間も含まれる

他の指標との関係

APTの長短が他の指標にどう関わるかは、指標によって異なる。以下は2025シーズンJ1のチーム別データ(20チーム)から算出した、APTとの相関係数である。

指標相関係数傾向
パス成功率0.90APTが長いチームほど高い
ボール支配率0.70APTが長いチームほど高い
ファウル数-0.42ファウルが多いほどやや短い
走行距離0.27弱い正の関係
スプリント-0.11ほぼ無関係

※2025シーズンJ1・全20チームの平均値から算出したチームレベルの相関であり、因果関係を示すものではない。サンプルがN=20と少なく、値には幅がある

APTの長短は、パス成功率との相関が際立って強い。パスがつながるチームほどプレーが途切れる回数が減り、インプレー時間が積み上がりやすい。逆に、パスが途切れればボールアウトや攻守の入れ替わりが増える分、APTは短くなる傾向がある。

一見すると、APTの短い試合はファウルが多い試合に思えるかもしれない。しかしファウル数との相関は中程度にとどまり、パス成功率ほど強い関係にはない。

また、APTと勝点の間には相関がなく、時間が長いチームが勝つわけでも、短いチームが負けるわけでもない。チームにとってAPTの延伸は直接的な目標にはなりにくく、この課題はルールや運営の側から取り組む性質のものといえる。

ルール運用との関わり

サッカーの試合では、90分間のうち約3分の1以上はプレーが行われていない。スポーツに限らずエンタメの選択肢が広がるなかで、この空白時間は競技の魅力にとって無視できない課題になっており、FIFA、UEFA、各国リーグはそれぞれ異なるアプローチで改善に動いてきた。

IFAB(国際サッカー評議会)は2026/27の競技規則改正で、試合中の中断時間そのものを短くするルールを導入した。FIFAワールドカップ2026から適用されている。

  • スローイン・ゴールキックの5秒ルール — 審判が遅延行為と判断した場合、5秒カウントを開始
  • 選手交代の10秒ルール — 交代で退く選手はボード表示から10秒以内にピッチを離れる
  • 負傷治療後の再入場 — 試合再開後の1分間は、ピッチ外で待機

APTに「いくつが適正か」という普遍的な基準はない。ただし、競技の魅力を高めるために中断時間を短くする取り組みは、リーグや統括団体の側でこれからも続くと考えられる。

関連する指標と概念

参考