ドリブルとは
ドリブルとは、ボールを保持する選手が、相手を抜く・かわすために仕掛けるプレーである。
スピードや緩急、フェイントで相手を抜き去るドリブルは、サッカーの花形のひとつといえる。相手をひとり抜けば、攻撃側には選択肢が広がり、守備側はその対応を迫られる。一方でドリブルでの勝負は、ボールを奪われるリスクと隣り合わせでもある。
日本語では、相手を抜く仕掛けも、空いたスペースでボールを運ぶことも、言葉は同じ「ドリブル」である。イタリア語では、相手を抜くほうをドリブリング、ボールを運ぶほうをコンドゥツィオーネ(conduzione)と呼び分ける。スペイン語も同じで、前者がレガテ(regate)、後者がコンドゥクシオン(conducción)にあたる。
スタッツ上で「ドリブル」として数えられるのは、このうち相手を抜く仕掛けのほうである。一方、空いているスペースにボールを運ぶプレーは、「キャリー」など別の名前で記録される。
定義と読み方
何をドリブルとして数えるか
主要なデータプロバイダーの定義はいずれも、ボールを持った選手が相手を抜く・かわすために仕掛けたことを条件にしている。
ドリブルとなるのは、真正面から抜き切ろうとする場面だけではない。J STATSの定義は、横にかわしてシュートを打とうとするプレーも挙げている。
Optaでは、仕掛けの総数が2通りある。相手を抜けずにボールを持ったまま引き返した仕掛けを含めたものがテイクオン数(take-ons)、除いたものがドリブル数にあたる。
どこまでを成功とするか
ドリブルを成功と判定する条件は、相手を抜けたか、ボールを保持できたか、次のプレーがどこで起きたかなど、プロバイダーの定義によって違う。
| プロバイダー | 何をドリブルとして数えるか | 何を成功とするか |
|---|---|---|
| Opta | ボールを保持した選手が相手を抜こうとする試み | 相手を抜き、ボールを保持していること。タックルされた場合は失敗 |
| StatsBomb | ボールを持った選手が相手に仕掛けるプレー | 相手を抜けたかどうか |
| Wyscout | ボールの保持を保ったまま相手を抜こうとする試み | 本人か味方の次のプレーが、相手ゴールにより近い位置で起きること。守備側のファウルを得た場合も含む |
| J STATS | 守備側プレーヤーと対峙し、その選手を抜こうとする、横にかわしてシュートを打とうとするなどの仕掛けるプレー | 守備プレーヤーと対峙し、その選手を抜いたり横にかわした後にパスやシュートが出来た場合 |
※Opta・StatsBomb・Wyscoutの公式定義の出典は参考セクションを参照。J STATSの定義はJリーグ公式サイトのスタッツページによる
成功となったドリブルでも、守備側がより守りやすい方向へ誘導していることがある。成功か失敗かという二択には、そうした守り方の違いまでは入らない。
注意点
どこで仕掛けたかは数字に出ない
自陣で仕掛けた1回も、敵陣ペナルティーエリアで仕掛けた1回も、ドリブル数のうえでは同じ1回である。どれだけスペースがあったか、どれだけ厳しく寄せられていたかは、成功率だけではわからない。
StatsBombの分析に、同じ左サイドのウイングで、90分あたりの成功数が近い2人を比べた例がある。一方は自陣から仕掛けることが多く、もう一方はおもに相手陣の深い位置で仕掛けていた。前者は前進のため、後者は引いた守りを崩すための仕掛けであり、数字は近くても狙いと状況は違っていた。
ポジションによって数が変わる
ドリブルするエリアと頻度は、選手のポジションによっても異なる。サイドは中央よりも密集しにくく、マッチアップも明確になりやすいため、1対1の局面が生まれやすい。
また、突破力のある選手はサイドに置かれることが多く、ドリブル数は外に張る選手に集まりやすい。サイドであれば、縦に抜くかカットインするかという2つの選択肢が得やすいことも、中央でのドリブル突破とは異なるところである。
参考
- “Opta Football Stats Definitions” (Opta Analyst, 2024) https://theanalyst.com/articles/opta-football-stats-definitions
- “StatsBomb Open Data Specification v1.1” (StatsBomb, 2019) https://github.com/hudl/open-data/blob/master/doc/StatsBomb%20Open%20Data%20Specification%20v1.1.pdf
- “Dribble” (Wyscout Glossary) https://dataglossary.wyscout.com/dribble/
- Euan Dewar “Taking ‘Em On: Digging Deeper With Dribbles” (StatsBomb, 2018) https://www.hudl.com/blog/taking-em-on-digging-deeper-with-dribbles
- “Guida Tecnica per le Scuole di Calcio” (FIGC) https://www.figc.it/media/2336/2parte.pdf

